ITARU ROVER

雪国から綴る築70年の家で猫と暮らす中年の記録

サフラジェット映画『未来を花束にして』

サフラジェット

女性参政権運動をテーマにした『未来を花束にして』という映画を観ました。この映画で描かれた世界はほんのちょっと昔の出来事なのにまるでディストピア小説の世界のようです。

未来を花束にして(字幕版)

未来を花束にして(字幕版)

  • 発売日: 2017/07/28
  • メディア: Prime Video
 

100年前のイギリスの女性たち

舞台は1912年頃のイギリスでサフラジェットと呼ばれる女性参政権運動に関わる人々の話です。当時のイギリスでは女性たちには参政権がないだけでなく過酷な労働環境で働かされ、生き方の自由も選択できない状況でした。

映画ではWSPU(女性社会政治同盟)のリーダーで実在したエメリン・パンクハーストが登場します。しかしこの映画の主役は彼女ではなく、洗濯工場で働くモード・ワッツという女性です。

モードが全くの架空の人物なのか実在のモデルがいるのかはわかりません。モードのように普通に生きていた女性が運動に参加していくことで人生が大きく変わってしまう過程が表現されています。

モードは運動に深く入りこむうちに仕事をクビになり、家庭からも追い出されてしまうのです。

過激なWSPUの活動

この映画で表現されているWSPUの活動は平和的なものではなく、郵便ポストを爆発したり、石を投げつけて商店の窓を割ったりとかなり過激です。

もちろんこれは犯罪行為ですが、そこまでしないと変わらないと思わせるほど社会が女性たちを無視し続けていたのでしょう。

エプソムダービーで実際に起きたエミリー・デイヴィソンの悲惨な事件が映画でも描かれています。この事件が契機となって女性参政権運動は大きく広がっていきます。

世界の女性参政権

イギリスでは1928年にやっと女性参政権が認められています。フェミニズムの先駆者であるメアリ・ウルストンクラフトが『女性の権利の擁護』を書いたのが1792年。それから130年以上も経っています。

映画のエンドロールに世界の女性参政権の獲得年が表示されます。1893年のニュージーランドに始まり、1920年アメリカ、1944年フランスと続きます。映画の中には出てきませんでしたが、日本は1945年になってからとだいぶ遅いです。

そして2000年以降にカタールやサウジアラビアで女性参政権が認められています。ほんのつい最近になってからです。女性参政権運動は100年前の出来事ではなく現在まで続いている闘いだとわかります。

無視される社会の不平等

現在に生きる僕たちが昔の人は愚かだったと思うのは簡単なことですが、その時代に生きている人間にとっては日常で行われている社会の異常性に気づくのは難しいのだと再認識させられました。

自分の利益に反することならば社会の不平等は無視されてしまう。異常なことにそれは間違っていると言う人たちが社会を変えていく力を持っているのだと知らされた映画です。