ITARU ROVER

雪国から綴る室温2度の雑記帳

ひとり旅に出たくなる!3時間の脱獄体験『深夜特急1-香港・マカオ-』

深夜特急

印象的な装丁と旅本としてはあまりにも有名なので以前から気になっていた本です。BOOKOFFの100円棚にあったので読んでみました。

深夜特急1-香港・マカオ- (新潮文庫)

深夜特急1-香港・マカオ- (新潮文庫)

  • 作者:沢木 耕太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/03/30
  • メディア: 文庫
 

バス旅なのに深夜特急?

乗合バスで行く旅の話なのに深夜特急というタイトルは変だなと思いました。深夜特急とはトルコの刑務所で受刑者が使う脱獄(ミッドナイト・エクスプレス)という意味の隠語らしいです。

バックパッカーにとっては旅とはある意味、脱獄なのかもしれません。脱獄はどこへ行くのかより何からどうやって逃げるのかが問題になります。

何から逃げるのか。それは日々の仕事だったり、所属する社会だったり、周囲から認識された自分という人間だったりするのでしょう。

なぜ鉄道ではなくバスを使うのか

著者がインドのデリーからイギリスのロンドンまで鉄道ではなくあえて2万キロの無謀なバス旅を選んだことについては明確な理由はないとしながらも次のような説明があります。

日本を離れるにしても、少しずつ、可能なかぎり陸地をつたい、この地球の大きさを知覚するための手がかりのようなものを得たいと思ったのだ。

目的地に着くことよりもその過程の中で自分だけしかやらないことに意味を見つけたかったのかもしれません。現在、デリーからロンドンまでは飛行機を使うと、モスクワ経由で12時間ほどで行くことができます。

機内で眠っていたら着いてしまう場所へバスを使うことでどれだけの苦労と時間がかかるのでしょうか。その経験は実際に行った人にしか理解できませんが、当書を読むことで疑似体験はできます。

旅の始まり

第1巻(第1便というらしい)は香港の怪しい宿から始まりマカオの賭博場での白熱したギャンブルで終わります。最後には思わず苦笑してしまうオチまでついていて第2便への期待が増しました。

3時間程の脱獄体験でしたが、当書を読むと香港・マカオへ行ってみたくなってしまいます。現在は近代化して街の様子は変わっているかもしれません。それでも観光客しか行かない場所を少し外れてみれば、当書の面影はまだ残っているでしょう。

ラジオ番組「JET STREAM」とのつながり

読んでいる最中、頭の片隅には深夜ラジオの旅番組「JET STREAM」のことがぼんやりと浮かんでいました。今は北海道に住んでいるのでもう聴けないのですが、東京にいた頃は好きなラジオ番組のひとつでよく聴いていました。

番組パーソナリティーの大沢たかおは「劇的紀行 深夜特急」というテレビドラマで主演を務めていたらしいです。僕はそのドラマは観ていませんが、番組パーソナリティーによって「JET STREAM」と深夜特急がつながるのは面白いですね。